HDMIケーブル選びの基本的な「5つのポイント」

HDMIケーブルはHDMI機器同士を接続するためのものです。
ケーブルを選定する際にまず確認するべき「5つのポイント」を紹介します。

1.HDCPの確認

すべてのHDMI機器はHDMIケーブルで接続すれば使用できるというものではありません。
接続する機器の組み合わせによっては、どんなケーブルを使用しても使用できないケースがありますので注意する必要があります。

HDMIケーブルを選定する前に、接続する機器同士が対応する「HDCP」のバージョンを確認する必要があります。
機器によっては、ポート毎にHDCPのバージョンが異なる製品もあります。

HDMI機器は、「ソース機器」、「シンク機器」、「リピーター機器」の3種類に大別されます。
ソース機器は、ブルーレイ・プレーヤーなどの「HDMI出力ポート」を持つ機器です。
シンク機器は、テレビなどの「HDMI入力ポート」を持つ機器です。
リピーター機器は、AVアンプなどの「HDMI入力ポート」と「HDMI出力ポート」を持つ機器です。

シンク機器
HDCP 2.x HDCP 1.x HDCP 非対応
ソース機器 HDCP 2.x × ×
HDCP 1.x ×
HDCP 非対応

◯は、ケーブル接続すれば使用できます。
△は、「HDCPブリッジ」などと呼ばれる機器を「ソース機器」と「シンク機器」の間に介在させることで使用することが出来ます。
×は、使用できない組み合わせになります。

2.レセプタクルの形状

HDMI機器には、HDMIケーブルを接続するための「レセプタクル(コネクターを差し込む口)」が搭載されています。
機器によって様々なレセプタクルが搭載されているため、その形状に合わせてケーブルを選定する必要があります。
HDMIケーブルは1本ですが、その両端に付いているコネクターの形状によって様々なケーブルが存在します。
HDMIケーブルのコネクターの種類

注意間違ったケーブルを挿した場合、コネクタやHDMI機器の差込口が破損する可能性があります。
レセプタクルの種類

以下の図から、HDMIケーブルを選定する上で必要となるコネクタの形状を接続する予定のHDMI機器と照らし合わせて調べてください。
※図面内の寸法は、差込口内の幅と高さの最大値(外側全体は含みません)です。

タイプA

HDMI タイプA 差込口(レセプタクル)
テレビ、ブルーレイ・プレーヤー、ゲーム機、パソコンなどHDMI機器の中で一番搭載されているタイプです。流通量が圧倒的に多いため、このコネクターが「HDMI」の代名詞のようになっていますが、正しくは「タイプA」と呼ばれます。

タイプB

HDMI タイプB 差込口(レセプタクル)
もともとはHDMIの規格が制定された際にDVIのデュアルリンクと同等の信号に対応できるよう策定された規格です。
当初、デュアルリンク仕様の機器(ディスプレイなど)の流通量がシングルリンク仕様と比べて圧倒的に少ないこともあり、「タイプB」が搭載された製品はリリースされませんでした。しかもデュアルリンクは、使用される環境が一般家庭ではなく、専門的な分野(医療系、画像制作など)に多く使用されています。
それらのほとんどの製品はHDMIがリリースされる前から存在していた「DVI」、もしくはDVIの直接の後継インターフェースであるDP(ディスプレイポート)が採用されています。なお、現在では「タイプA」にて4Kなどのデュアルリンク相当の解像度を表示することが出来るようになったため、「タイプB」が流通する可能性は今後も極めて低いものと思われます。

タイプC(別名:ミニ)

HDMI タイプC 差込口(レセプタクル)
主にデジタルカメラ、ビデオカメラ、ノートパソコンなど機器のサイズが小さく、タイプAを搭載するためのスペースの確保が困難な機器に採用されています。

タイプD(別名:マイクロ)

HDMI タイプD 差込口(レセプタクル)
主に携帯電話(スマホ)、タブレット、ノートパソコンなどの機器に採用されています。タイプCよりも後で発表された規格にも関わらず、そのサイズの小ささゆえタイプCよりもタイプDが搭載されてる機器が増えています。

タイプE

HDMI タイプE 差込口(レセプタクル)
車載用機器などのために策定されました。一般家電向けではないためケーブル自体の流通量は少ないです。
車載用機器メーカーによっては、あえてケーブルの入手がしやすい「タイプA」の差込口(レセプタクル)を搭載したモデルを発売している場合もあります。

3.必要な帯域幅の確認

HDMI機器は、その機器が対応する機能などによってデータ伝送に必要な帯域幅が異なります。
HDMI機器同士を1対1で接続する場合は、それらの機器の仕様に合わせてHDMIケーブルを選定します。
以下の表は、それぞれのケーブルタイプにおける簡易的な目安です。

ケーブル・タイプ 720p/1080i@60 1080p@60 4K@60 (4:2:0) 4K@60 (4:4:4)
Standard HDMI Cable
(標準HDMIケーブル)
     
High Speed HDMI Cable
(ハイスピードHDMIケーブル)
 
Premium High Speed HDMI Cable
(プレミアム・ハイスピードHDMIケーブル)

※「◯」はHDMI規格に準拠しているHDMIケーブルであれば保証値になります。
ちなみにケーブルの品質によっては記載されているケーブル・タイプ以上の能力(伝送量)を保有するものもあります。

なお、切替器、分配器などの中間機器が介在し接続構成が複雑になる場合、様々な要因によって障害が発生する可能性があります。

4.必要なオプション機能の確認

HEC(イーサネット)機能が必要な場合は、「HEC」対応ケーブルを選定します。

5.ケーブルの経路とケーブル長の確認

ケーブルの経路は「最短距離」が理想です。
設置場所によっては、必ずしも理想通りにはなりません。
以下のポイントに注意する必要があります。

屈曲

全てのケーブルには「最大曲げ半径」があります。
「最大曲げ半径」以上に曲げてしまうと伝送能力の低下や断線する可能性があります。

電源ラインとの並走

電源ラインが発するノイズを拾うなど、HDMI信号が不安定になる可能性があります。