HDMIケーブル選びにおいて「重要だと考える要素」

HDMIケーブル以外の製品においても言えることですが、「誰」からどのような「製品」を「いくらで」購入し「どうやって使用するか」が重要です。

  • 「誰」= メーカー、販売店
  • 「どのような製品」= 製品
  • 「いくら」= 価格
  • 「どうやって使用するか」= 設置、接続方法

すべての製品に言えることですが、品質の高い製品が安価に入手出来ることに越したことはありません。
しかしながらHDMIケーブルにおいては、「誰」が、「どのような材料」を用いて、そのような「工程」で製造しているかまで明確に説明しているメーカーはほとんど存在しません。
価格についても全てのケーブルが同じ条件で製造されていないため比較のしようがないことも事実です。

これらの情報が提供されていない状況の中でHDMIケーブルを選ぶ指標として、大きく分けて2つのポイントが挙げられます。
1つ目は「製品の情報」から推し量る方法です。
そして2つ目は、その製品を販売する「販売店の品質」から判断します。

製品の情報

1.情報の「量」と「質」
2.同一シリーズは必ずしも同等の品質ではない
1.情報の「量」と「質」

ケーブルの情報をパッケージ、カタログ、ホームページなどから確認します。

取扱いメーカーや販売店のホームページがそもそも存在しない製品は、まず避けた方が無難です。

仮にその製品がどんなに長い保証期間を謳っていても、保証する会社の実態の有無の確認ができなければ保証を受けられるかさえ疑問です。
企業のホームページであれば、デザインは公にしている「企業の顔」と同じです。
企業概要の情報や更新頻度などから、その企業の活動実態を把握することができます。

製品自体の公式ページ(販売ページではなく)がない製品は避ける

市場に流通している製品にも関わらず、製品自体の公式ページが存在しないということは、公にはできない何らかの事情があると考えていいと思います。

2.同一シリーズは必ずしも同等の品質ではない

さまざまなホームページにおいて、メーカーや販売店のHDMIケーブルに対する「専門性」を確認する方法として、そのメーカーや販売店が販売するHDMIケーブルの「最大長」とそのHDMIケーブルがサポートする解像度を確認するよう紹介しています。
要は、提供する製品の最大長がより長く、対応する解像度(帯域幅)が大きければ、そのメーカーや販売店が提供する製品が優れている可能性を示唆しています。
しかしながら、この方法は必ずしも正しくありません。
なぜかというと、候補として考えているケーブルと「最大長」のケーブルのメーカーや構造などが違う可能性が考えられるからです。
そしてもう一つの盲点が「同一シリーズ」として謳っている製品においても、ケーブル長によっては全く異なる製品(構造、素材、場合によっては製造元)が存在します。
一番簡単な見分け方は、仕様欄などに記載されている「ケーブルの直径」です。
長さによって「ケーブルの直径」が違う場合、それらのケーブルには異なる線材が使用されている可能性が極めて高いです。

製品のシリーズや型番は、メーカーや販売店などが任意で決め提供しているため、必ずしも「同一シリーズ」=「同等の品質」とは言い切れません。

メーカー、販売店の品質

1.ケーブルと接続できる周辺機器の取扱有無
2.保証期間
3.サポート体制
1.ケーブルと接続できる周辺機器の取扱有無

HDMIケーブルのみ販売している販売店とHDMIケーブルと接続できる周辺機器の取扱もある販売店とでは、絶対的な情報量に違いがあります。
先程の「バックアッププランの有無」とも共通することですが、HDMI機器は無数に存在します。

情報量やノウハウがある販売店から購入することで、ある程度の品質も担保されます。
2.保証期間

HDMIケーブルについては、そもそもの品質は別として、頻繁なケーブルの抜き差しや屈曲が求められる現場ではない限り、長期に渡って使用することが出来ます。
もしHDMIケーブルの保証期間が極端に短い場合は、その製品が業務用基準ではない可能性があります。
ほとんどのケーブルメーカーでは、1年間の保証期間を提示しています。
製品によっては「10年保証」や「永久保証」を謳っているメーカーも存在しますが、この付加価値に対して価格が見合うか判断することも重要です。
「10年保証」や「永久保証」を謳っていても、HDMI製品は接続機器(内蔵されているICの能力)によって、HDMIケーブルの対応可否があります。
新たなバージョンの策定に伴い、旧タイプのケーブルでは対応できない可能性があります。

保証期間が2〜3年以上ある製品が理想です。
3.サポート体制

製品の保証期間も重要ですが、導入前のコンサルや導入後の障害対応などに際して、明確な窓口が存在する販売店やメーカーの製品を推奨します。
相談する都度窓口が変わってしまう場合、毎回イチから説明する手間が発生する可能性があります。

購入する前に、障害発生時の手順や対応を確認しておくことを推奨します。

HDMIケーブル選びにおいて「避けるべき要素」

1.過度なパッケージ
2.惑わせるようなキャッチコピーや根拠が示されていない性能などが記載された製品
3.カラーリング
1.過度なパッケージ
パッケージにも「コスト」がかかっています。しかし使用に際してパッケージは必要ありません。

長尺ケーブルなどのように重量がよほどあるものは別ですが、過度なパッケージは必要としません。

2.惑わせるようなキャッチコピーや根拠が示されていない性能などが記載された製品
バージョン表記
バージョン表記の禁止(2012年1月1日以降)
HDMI製品については、全面的に製品へのバージョン表記が禁止されています。

HDMIケーブルについては、2009年11月19日以降、製品へのバージョン表記が禁止されています。
この禁止事項については、HDMI業界では広く「あたりまえのこと」として知られているため、仮にバージョンを表記をしている製品やバージョンを謳って販売している販売店があれば、HDMIについて詳しく知らない可能性、もしくは故意に記載している可能性があるため、それらの製品は避けたほうが無難です。

「HDMI準拠」という文言

HDMI製品については、ほとんどの販売店が「HDMI準拠」と謳っています。
この「HDMI準拠」とは、正式にはHDMIの規格認証試験の規格である「HDMI CTS」に準拠した検証のことを指します。

「HDMI準拠」と謳っている場合「HDMI CTS Certificate(証明書)」を必ず保有しているため、有無の確認をしましょう。

「次世代」という文言

HDMIケーブルは「世代」で分別されていません。
HDMI規格は、不定期にバージョンの改定がリリースされています。
仮に「次世代」と明記するのであれば、どのバージョンを指しているのか明記するべきですがHDMI製品については、製品への「バージョン表記」が禁止されています。

「4K」という文言

「4K」にもいろいろな種類があります。
少なくとも対応する解像度、リフレッシュレートや帯域幅の記載がなければ、それらの製品は避けた方が無難です。

「4Kフルスペック」という文言も散見しますが、正確にはHDMI規格ではありません。
「最速」や「最高伝送速度」という文言

HDMIケーブルは機器間接続に特化した製品です。
HDMI機器が搭載しているICが対応する帯域幅までの伝送量しか必要ありません。
ちなみにケーブルの試験では「最低限必要な帯域幅」を保有しているか否かが重点になります。

3.カラーリング
同一モデルで様々な色の製品を販売している場合は別ですが、バリエーションではなく鮮やかな色のケーブルやコネクターが付いた製品のみを販売されている場合は避けたほうが無難です。

海外メーカー(特に中国メーカー)の多くは、欧米市場のバイヤーなどにアピールするため少しでも他社のケーブルよりも目立つように「蛍光色」などを配したケーブルを作成します。しかしながら、実際に大量生産されるケーブルの多くは「黒」や「白」などです。
HDMIケーブル自体のカラーリングは、性能を向上させるわけではありません。
よほどの理由がない限り、大量生産されているモデル(カラーリング)の方がコストは下がりますし、継続的な生産も見込めます。