EDID(Extended Display Identification Data)とは、ディスプレイなどのシンク機器が内蔵するその機器の情報や対応する能力などが記述された「機器固有の識別データ」です。
1994年8月にVESA(Video Electronics Standards Association)によって初版である「EDID 1.0」がリリースされて以降不定期に改定されています。

EDIDのバージョン

EDIDのバージョンは、他の規格と違い多少解りづらいかもしれません。
EDIDには2種類のバージョンが存在します。

1.「EDID 規格書」の バージョン
2.「EDID structure」 の バージョン

多くの製品では「EDID structure」のバージョンが使われています。
EDIDのデータ内には、規格書のバージョンではなく、Structureのバージョンが使われているからです。

以下では「EDID structure」のバージョンを基に「EDID」のバージョンの変遷を紹介します。
※カッコ内はそれぞれの規格書のバージョンです。

EDID 1.0(VESA DDC Standard Version 1 Revision 0)

1994年8月12日にVESAによってリリースされた「VESA BIOS Extensions/Display Data Channel Standard Version 1.0 Revision 0」において、128バイトのデータ・フォーマットとして「EDID structure 1.0」が定義されました。

EDID 1.1(VESA EDID Standard Version 2 Revision 0)

1996年4月9日にリリース。
「EDID structure 1.1」が定義されました。
規格書が「VESA DDC Standard」から分離され、「VESA EDID Standard Version 2 Revision 0」となりました。
「Detailed Timing Description」の使用用途が追加。

2000年1月1日以降にデザインされたディスプレイへの使用不可

EDID 1.1(VESA EDID Standard Version 2 Revision 1)

1996年6月24日にリリース。
「EISA ID」の発行元が「Microsoft Corp.」へ変更。
規格書「EDID Standard Version 2 Revision 0」の修正など。

2000年1月1日以降にデザインされたディスプレイへの使用不可

EDID 1.2 & 2.0(VESA EDID Standard Version 3 Revision 0)

1997年11月13日「EDID Standard Version 3 Revision 0」において、「EDID structure 1.2」と256バイトのデータ・フォーマットとして「EDID structure 2.0」が定義されました。

「EDID 1.2」については、2000年1月1日以降にデザインされたディスプレイへの使用不可

EDID 1.3 (VESA E-EDID Standard Release A Revision 0)

1999年9月2日にリリースされた「VESA Enhanced EDID Standard Release A」において、「EDID structure 1.3」が定義されました。
E-EDID規格では「EDID 1.x」と「EDID 2.0」の両方の規格の使用が可能。

「EDID 2.0」については、オプションでの使用が可能となったが「EDID 2.0」の製品への採用を今後推奨しない旨発表。

EDID 1.3 (VESA E-EDID Standard Release A Revision 1)

2000年2月9日にリリース。
「detailed timing section」の修正。

EDID 1.4 (VESA E-EDID Standard Release A Revision 2)

2006年9月25日にリリースされた「VESA Enhanced EDID Standard Release A Revision 2」において、「EDID structure 1.4」が定義されました。
一般家電製品(製造年、アスペクト比)とPC製品(CVT、追加機能)などの追加。

E-EDID(EDID 1.4)のデータ構成

E-EDID(EDID 1.4)では、以下のような情報が保存されています。

アドレス データ内容 
0-7 Header ヘッダー(固定データ)
8-9 Vendor/Product ID 製造元ID(EISA ID)
10-11 製品IDコード
12-15 シリアルナンバー
16 製造週
17 製造年
18 EDID Structure Version / Revision  EDID バージョン#
19 EDID リビジョン#
20 Basic Display Parameters and Features 映像タイプ
21 【平行】サイズ(cm)or アスペクト比
22 【垂直】サイズ(cm)or アスペクト比
23 ガンマ値
24 対応機能
VESA DPMS、カラースペース、ビデオ・タイミング
25-34 Phosphor or Filter Chromaticity 色度
35 Established Timings Established Timing I
36 Established Timing II
37 Manufacturer’s Reserved Timings
38-53 Standard Timing Identification
54-71 Preferred Timing Mode
72-89 Detailed Timing #2
or
Display Descriptor
90-107 Detailed Timing #3
or
Display Descriptor
108-125 Detailed Timing #4
or
Display Descriptor
126 Extension Flag
127 Check Sum チェックサム

CTA-861(旧:CEA-861)Extension

HDMI機器に使用されているEDIDの多くは「CEA-861 Extension」と呼ばれるものです。
「CEA-861」は、CEA(Consumer Electronics Association:全米家電協会)が策定していた「A DTV Profile for Uncompressed High Speed Digital Interfaces(非圧縮高速デジタル通信インターフェースにおけるデジタルテレビのプロファイル)」の規格です。
簡単に説明するとデジタルテレビの仕様を定めた規格書です。

2015年11月にCEAはCTA(Consumer Technology Association:全米民生技術協会)へ名称を変更しました。
この変更に伴い「CEA-861」は「CTA-861」となり、不定期に更新されています。

CTA-861のバージョン

EIA/CEA-861

2001年1月にリリース。

EIA/CEA-861-A

2001年12月にリリース。

EIA/CEA-861-B

2002年5月にリリース。
2002年12月9日にリリースされたHDMIの初版である「バージョン1.0」に採用。
HDMI「バージョン1.1」、「バージョン1.2」、「バージョン1.2a」にも継続採用される。

EIA/CEA-861-C

2005年8月にリリース。

EIA/CEA-861-D

2006年7月にリリース。
2006年6月22日にリリースされた「HDMIバージョン1.3」に採用。
HDMI「バージョン1.3a」、「バージョン1.4」、「バージョン1.4a」、「バージョン1.4b」にも継続採用される。

EIA/CEA-861-E

2008年3月にリリース。

EIA/CEA-861-F

2013年5月にリリース。
2013年9月4日にリリースされた「HDMIバージョン2.0」に採用。
HDMI「バージョン2.0a」、「バージョン2.0b」にも継続採用される。

CTA-861-F

2015年11月に名称変更。

CTA-861-G

2016年11月にリリース。